もはや日記とかそういう次元ではない

そう、それは日記という既存の枠組みに一切捕われることのない、余りにも宇宙的でユニバースな、それでいてユニバーサルでユニセックスでリバーシブルな、日々の出来事を綴る、例のあれ。日記。

ついに誕生日間近だ、そろそろだ それはもう凄いに違いない、サプライズの雨霰なんだろう。身構えている

 

木曜日になりましたね、皆さん如何お過ごしでしょうか。弊社はいつもと変わらぬシュールな光景が広がっています

 

僕の目の前では真面目さに定評のあるS藤がブツブツ言いながら資料を作っていて、その横にはデブの髭面 K林がプログラマーとテレビ電話で会議をしています。僕の横には社長のK米が暇そうに鼻の穴をホジくりまわし、そこで採取した鼻糞を、熱心に机の裏側に付着させています。それが冷えて固まり、ツララのようになっており非常に危険です、これはノンフィクションです  横で「おい俺の大切なツララの件、ブログにあげんなやボケ」と今まさに彼はキレています。タレ目が特徴の中年のオジさんです

つまり、僕の誕生日は毎年のように2月10日です 決まって2月10日です

 

さて、このタイミングでわざわざSNSを使って自分の誕生日を発表しているのは、それは勿論、ハッピーバースデーのメッセージやお祝いの品、ひいてはサプライズパーティの類いを切望しているからです

ああ祝われたい 色んな人にいっぱいたくさん祝われたい。「おめでとう」「ついにやったな」「前人未到だな」「好きです」「触って下さい」「絶対優勝」等々、言われたい、いっぱい言われたい

この抑えきれない内なる衝動、承認欲求・自己顕示欲・愛を求める本能が、SNSを使って自分の友達に自分の誕生日をリマインドするという、この典型的な嫌らしい活動へとワタシを駆り立ててしまったのです

しかし発表の仕方が余りにも露骨だったので、自分のこの嫌らしい活動が、嫌らしい感じで伝わってしまっている可能性が高く、何かあいつちょっとウザくね?となってしまっている可能性はそれはもう非常に高い

あまりに強いワタクシの欲求が、完全に裏目に出たとしか言いようのない本末転倒な状況です このままではサプライズパーティは開催して貰えないまま終わるに違いない

 

決意しました。ここは一肌脱いで私が企画したいと思います。「Kumagaiサプライズバースデーパーティ@松屋 代々木上原店   produced by Kumagai」 

 

誰にもバレないよう、こっそりとケーキを買い込み、 それをカバンに忍ばせて2月9日夜23:40に松屋に一人で入店、カウンターに座る。  そして時刻が24:00になった瞬間、カバンに忍ばせていた特大ケーキを、突然自分の顔にブチマケ、自ら、自分に向かって、「くまがい、オメデトおおおおおおおーー!!!!!」 そしてカバンに忍ばせていたテキーラを、カバンに忍ばせていたショットグラスにつぎ込み、一気に27杯

そのままカバンに忍ばせていたバケツに盛大にゲロを吐き、カバンに忍ばせていたシャンパンを開け、カバンに忍んでいた友人達が次々と目の前に現れ「お前にプレゼントがあるんだ」、と言いながらカバンに忍ばせていたアタッシュケースを取り出し、そのアタッシュケースに忍ばせていたトートバックを取り出してから、トートバックに忍ばせていたキャリーケースを取り出し、キャリーケースの中に入っていた化粧ポーチの中からショルダーバッグを取り出しショルダーバッグに忍ばせていたボストンバックからクラッチバックを取り出し、クラッチバックに忍ばせていたショッピングバックからガーメントバッグを取り出し、ガーメントバッグに忍ばせていたドクターバッグからセカンドバッグ、その中に忍ばせていたパイロットケースに忍ばせていた筆箱、そこに忍ばせていたダレスバッグの中には何と俺の大好きなチャンジャと島ラッキョウとアタッシュケースが入っていたのでした みんなこんな俺の為に本当にありがとう今になって命がおしい

 

そう何気なくその日の松屋に入店した他の客は、信じられない光景を目にすることになるでしょう。完全に精神が錯乱し自らの顔面にケーキをぶつける狂気の若者と、店内に散らかった無数のカバン 

午後1時をお知らせします