もはや日記とかそういう次元ではない

2017年も宜しくお願い致します。

『ポケモンガオーレ』とかいう無垢な小学生から金を巻き上げる悪質なゲームに憤慨している。

 

興奮して書いたところ、まとまりの無い、ただ長いだけの駄文になってしまった。

 

結論から言うと、ポケモンガオーレというゲームに憤慨している。読み方はフンガイ、ローマ字表記するとFUNN-GAIである。

 

 

 

事の発端は、8月某日、とある理由から遠い親戚に当たる小学一年生の男の子の面倒をみないといけなくなったこと。

 

朝から夕方まで相手をしないといけない。時給は発生しない。

 

 

 

少年の最大の興味関心はと言えばウルトラマン。彼の世界は金でも仕事でも性行為でもなく、ウルトラマンによって成り立っている。

 

そんな彼の精神的な満足感を醸成するため、池袋サンシャインシティへと出向いた。ウルトラマンフェスティバル、略してウルフェスへ連れていくために。

 

 

 

ウルフェスに入るなり、足早に、やけに慣れた足取りで奥へ奥へと進んでいく少年。

 

ウルトラマンの怪獣と一緒に写真を撮るコーナーはガン無視して突き進み、奥に存在するウルトラマンショップまで到達するや否や、「これ、欲しいな〜」と言って人形を差し出してくる。「お、おう。」

 

あまりに無駄のない動きとストレートな要求に、成す術も無く、謎の限定モデルのウルトラマン人形を購入。

 

 

 

少年は人形を手に満足気な表情でウルフェスを出る。ウルフェスが楽しかったのかだけ念のため確認すると、「この前ママと来たから、今日は普通だった。」とのこと。

 

この前ママと来た。それだけは事前に教えて欲しかった。オジさんも、よかれと思ってここに来ているんだ。君のために。

 

  

 

 

少年はその足で速やかにポケモンのフロアへと進んでいき、そこで行列の出来ているゲーム機にちょこんと並んだ。

 

ゲームの名前は、『ポケモンガオーレ』。4-5台のゲーム機が並んでいて、そこに30人近い子供達が順番待ちの列を成している。

 

 

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ポケモンガオーレは、簡単に言うと自分のポケモンを使ってダンジョンを進め、出現したポケモンを獲得していくゲームだ。

 

スタートする時、ポケモンを捕まえた時、次のステージに進む時など、至る所に100円をブチ込むポイントがある。課金地獄。

 

 

 

 

獲得したポケモンは、“ガオーレディスク” という謎の “ディスク” となってゲーム機から出て来る。

 

そして、ゲーム機にディスクを挿入することで、新たに捕まえたポケモンを仲間として使いダンジョンを進めることが出来る仕様になっている。

 

 

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これが、小学校低学年の子供達の間で、大ブームとなっているらしい。

 

どのポケモンを捕まえた!と言いながら、小学生同士がディスクを見せ合っている。昔で言うところのポケモンカードみたいな感じなのだろうか。気持ちは凄い分かる。分かるぞ少年んn

 

 

 

 

 

サンシャインシティに群がる子供達のもっぱらの狙いは、“ホウオウ” だった。ポケモンガオーレでは、期間限定で “ホウオウ” が手に入るコースが開放されているらしい。

 

ダンジョンを進めていくと稀に “ホウオウ” が現れ、運が良ければそれを捕まえることが出来る。皆さんは、ホウオウという動物を、ご存知だろうか?

 

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※ ガオーレの公式サイトより

 

 

ホウオウとは、ポケモンの世界で最上位に君臨する、すんんんごい鳥だ。ポケモンの世界をビジネスの世界だとするとザッカーバーグに相当する。ボクシングで言えばパッキャオ。車で言うとベンツ。都市で言うとパリ。

 

 

ゲーム内での設定は、たしか飛んだ後に虹が出来る神話上の生き物みたいな感じだったと思う。詳細は不明なるも、とにかくザッカーバーグでパッキャオなベンツinパリだと思ってもらえば良い。ホウオウは凄い。

 

 

 

 

 

このホウオウを捕まえた者、つまりホウオウのガオーレディスク持っている者は、小学生の間で文字通り「神」に近い扱いを受けていた。ホウオウを捕まえるのは、恐ろしく難しいらしい。

 

すっっげえええ〜!ホウホウ捕まえたの!?!?ヤッベ〜〜!! 見せてみせてええええ〜!! そんな叫び声が、あちらこちらから聞こえてくる。

 

 

 

 

 

私が連れた少年の手持ちのガオーレディスクはと言うと、ピカチュウを始めとした、いささか貧相でショボそうな、ホウオウとはほど遠いポケモン達のようだった。

 

祈るようにゲーム機を見つめる少年の目からは、今日ホウオウを手に入れてスクールカーストをひっくり返し、一夜にしてスターダムにのし上がらんとする決意が見てとれた。「おお、やったろうやないか」

 

私は彼に必要以上に感情移入し、真剣な眼差しで共に列を進んだ。

 

 

 

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少年の順番になり、ゲーム機に自慢のショボいポケモン達を並べダンジョンを進む。一緒にボタンを連打し、タイミングを合わせてボタンを押し、ショボいポケモンでちょっとしたポケモンを捕まえ、新たなガオーレディスクを獲得していく。

 

 

 

一回目のダンジョンで、奇跡的にホウオウが出た。周りがザワついている。少年が絶叫している。自慢のスーパーボールを投げたが、ホウオウは捕まえられなかった。

 

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一定回数プレイすると、後ろの人に替わらないといけない。ホウオウを捕まえられずしょんぼりしている少年を見て、いたたまれない気持ちになった。小さな夢が散っていく瞬間を見て、胸が締め付けられた。

 

 

財布の中の100円玉を数え、もう一度やるか聞くと、彼は満面の笑みで頷き嬉しそうに列の最後尾へと並ぶ。よし、次がラスト。次こそはホウオウを。彼にホウオウを。

 

 

 

 

 

それを、ひたすら繰り返した。次がラスト。次がラスト。少年の手元にはガオーレディスクが貯まっていった。無心で、次々と100円玉をぶち込んでいく。

 

 

もう、一体、何枚のディスクを獲得したのか。フシギバナを捕まえた。ケンタロスを捕まえた。ミルタンクを捕まえた。ミルタンクは、3体捕まえた。ホウオウが捕まらない。次第に、感覚がなくなっていく。

 

 

ほぼマシーンのように、ただただ列に並び、順番が来てはボタンを連打し、ホウオウが出て来ないまま終わった時にはもう一回やるか少年に尋ね、頷く少年と共に列の最後尾へ。

 

ホウオウが出て来たのに捕まえられなかった時にはもう一回やるか少年に尋ね、頷く少年と共に最後尾へ。

 

 

 

 

 

1時間が過ぎ、2時間が過ぎ、3時間が過ぎた。ホウオウは、手に入りそうで、手に入らない、最も微妙な距離を保ち続けてきた。

 

もう一回やれば、次こそは捕まえられるかもしれないと思わせてくる。思わせぶりなホウオウ。魅惑の鳥。

 

とうとう夕方になった。少年を親の元へ返す時間だ。これが本当に最後の一回だな、そういって望んだ最終戦。ホウオウは出て来てすらくれなかった。男達の戦いがあっけなく終わった

 

 

 

 

 

 

 

 

さあ帰ろう、今日は残念だったなと言って彼の手を引く

 

何時間も費やしたのにホウオウを捕まえられなかった事実に半泣きになりながら、「でもこんなにたくさん捕まえたよ」と必死に喜んでみせる少年は、絶望の狭間で彼なりに私のことを気遣ってくれていたのかもしれない。

 

 

 

少年を駅まで送り届けて、子守りという一日のミッションを終えた。有難う御座いましたと引き取られていく少年に手を振る。さあ帰ってオナニーでもするかと思い山手線の改札を渡ろうとしたその時に、不思議な感覚が襲ってきた。ホウオウが欲しい。

 

 

 

少年の為に並び、少年の為にボタンを連打し、少年の為に100円をぶち込む。少年のために費やした時間が、いつからか自分の脳裏に不気味な欲望を刷り込んでいた。もう少年はいない。手元には、ガオーレディスクは一枚もない。しかし。ホウオウが欲しい。

 

 

 

 

 

気付けば、自分は帰り道と真逆の方向に進んでいた。サンシャインシティ。間違いなく自分はサンシャインシティの方向に進んでいる。自分の足を制御することが出来ない。

 

俺が、俺様が、ホウオウを捕まえる。もはや少年は関係ない。これは、俺とホウオウの問題だ。俺はホウオウに用がある。

 

 

 

 

 

 

 

サンシャインシティのポケモンフロアについた自分は、気付けば鬼の形相で小学生の群に一人で並んでいた。その付近にいる大人はと言えば、全員が全員、例外なく子連れである。

 

そんな中に、子供も連れず悠然と並び、腕を組んで眉間にシワを寄せてゲーム機を睨みつける、スネ毛の濃い男性が一人。

 

あの人には近寄っちゃダメよ、と周りの大人達のひそひそ声が聞こえてくる。しかし嘲笑の的になろうとも微動だにしないその漢、正に阿修羅。

 

 

 

親御さん達の指摘は、控えめに見積もっても大袈裟とは言い難い。それは客観的に見て、絶対に近付いてはいけないタイプの男性だった。

 

一枚のガオーレディスクも持っていないその男は、文字通りゼロからゲームをスタートし、いそいそとトレーナー登録をし始めた。この歳にして、ポケモントレーナーか。よかろう

 

 

 

 

 

「ねんれい を にゅうりょく してね!」と画面が語りかけてくる。ふ…。ゲーム機よ。残念ながら、今、君の目の前に鎮座している男性は、年齢を「ねんれい」と表記しないと読めないような年齢ではない。社会人7年目。立派な中堅だ。

 

 

「くまがい」はポケモントレーナーとしての登録を終え、早速冒険に出た。ピカチュウ。ミズゴロウ。まずは弱いポケモンから、順番に捕まえていく。小学生向けのゲームに没頭する。

 

 

 

しかしそのボタンの連打スピードが、そのボタンのプッシュタイミングが、その戦略が、その資金力が、周囲に存在する多くの小学生を明らかに圧倒している。

 

躊躇無く、物凄いスピードでポケモンを乱獲し、ママにお願いすることもなく片っ端から金をぶち込んで次々とガオーレディスクを獲得。全く次元が違う。効率的過ぎる。当然だ。アラサーなのだ。

 

 

 

 

ポケモンを何体か捕まえ自分のターンを終えると、そそくさとゲーム機から離れ、そして漢は眉間にシワを寄せ腕を組みながら列の最後尾へ。

 

 

周囲の小学生とその親達のザワつきが大きくなっていることに、勿論、気付いていた。ポケモンガオーレ。対象年齢は6才からせいぜい10才といったところだろうか。それをまるで仕事かのように物凄い手つきでこなしていく、不気味な男性。性犯罪者予備軍。

 

 

 

笑うがいい。恐れるがいい。好きなだけ蔑むがいい

 

残念なことに君たちからの視線には、一切興味がない。俺はホウオウに用がある。

 

 

 

 

 

 

 

数時間。たったそれだけで、手元にはZ技持ちのグレード5リザードンやライコウを始めとした強力なポケモン達が集まっていた。とうとう夜になり、小学生達はママに連れられて姿を消した。

 

 

サンシャインシティに置かれたポケモンガオーレの、終了時刻になった。捕まえられない。捕まえられないよ。ホウオウが。ホウオウが手に入らない。なぜだ クソ…、クソっぉぉぉおおぉおおおおおおぉぉおお!!!! 

 

昼間はあんなに賑わっていたのに、気付けば周りには自分以外、誰もいなくなってる。一向にやめる気配のない自分に、お客さんもう締める時間ですよ、と店員が語りかけてくる。

 

 

 

大量のガオーレディスクを抱え、オラオラオラああああ!!と言いながらボタンを連打し、くっっっっそおおおお!!と言いながら本気で悔しがってるスネ毛の男性を見て、彼は何を思っただろう。シンプルに、精神科を紹介しようと思ったに違いない。結局、ラストチャレンジでも捕まらない。

 

 

 

 

よろよろとサンシャインシティを出て、池袋の道を歩く。ホウオウを捕まえられなかった。さあ、さすがに帰ろう。

 

そう語りかける理性と裏腹に、右手はポケモンガオーレが置いてあり、深夜まで開いているゲームセンターを検索しはじめていた。右手を制御することが出来ない。

 

意志とは関係無く動く右手により、周辺に、いくつかガオーレの置いてあるゲームセンターが存在することが判明した。小学生よ。君達とアラサー男子との、最大の違いが何か分かるかい? それは身長や筋力などではない

 

 

 

そう、それは確かなググラビリティに立脚した高い検索能力とタクシーの利用をも厭わない圧巻の移動能力、そして、門限に縛られることのない無限の “時間” だぁぁあああああ!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気付けば自分は場所を変え、薄暗いゲーセンの両替機に札をブチこんでいた。手始めに100円玉を50枚獲得した。50枚。シリーズAの調達はこの程度にしておいてやろう

 

 

そこからはもう、何かに取り憑かれたかのように、ただただ没頭していたらしい。時間は夢のようなスピードで過ぎていった。無心で目の前のボタンを乱打する。

 

 

 

スモーキーな空間で、自分の意識が少しずつ薄れていくのを感じていた。ホウオウを探し、ホウオウを求め、そしてホウオウは捕まらない。ホウオウを捕まえるチャンスは何度もある。捕まえられない。

 

 

 

 

昔、人間がパチンコやゲームのような単純作業にはまってしまうメカニズムについての話を、誰かから聞いたことがあった。それは逃避活動なのだという話

 

 

単純な作業自体がしたいのではなく、本当は考えたくない何かがあるだけなのだという理論だった。目を背けたい何かがあるために、それを考えないでおく為に脳が単純作業を求めるという仮説

 

 

真偽のほどは分からないが、たしかに試験前日には決まって漫画が読みたくなるしゲームがしたくなる

 

自分は、今こうしてる間も、何かから逃げているんだろうか。人間関係?仕事?自分は潜在的な悩みがあるんだろうか。なぜこんなにもホウオウに執着しているのか

 

 

 

 

 

 

 

ホウオウとは、一体、何なんだろう

 

自分は、途中から、暗い孤独な世界の中で、ただホウオウとの対話を楽しんでいるようだった。ホウオウと自分、2人きり

 

知れば知るほど分からなくなる。 全て分かっているようで何も分からない。ただ頭がボーっとして、意識が朦朧としてく

 

なぜホウオウが捕まえたいのか。なぜホウオウは捕まらないのか。そもそもホウオウとは誰なのか

 

ホウオウのことは昔から知っている気がするし、そしてこれからも共にいる気がする。そうか… ホウオウとは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

“己” だ。

 

 

 

 

ガオーレに金をいれ、ガオーレに金を入れる。広大なダンジョンを探しもとめる、その手が速くなっていく。次々と金をいれポケモンを乱獲。汗が飛び散る。それは自らを探していく、余りにも孤独でバーチャルな旅路

 

 

ボタンを連打する音が、怪しい空間の中に飲み込まれていく。 音ゲーの兄ちゃん達が周りにいるせいなのか。自分の神経がイってしまっているのか。自分の脳みそが変な音を出しながらゲーセンの中に溶け出ているような不気味な感覚に襲われる

 

 

 

 

これが最後、これが最後だと何度も言い聞かせ、そして捕まえられない度、クッッッソオオオオオオう!!!と言ってゲーム機を叩きながら、「次が本当の最後♡」と言い聞かせて、100円玉という名の何かをブチ込んでいく

 

最後の次に「本当の最後」が待っている世界には、「本当の最後」の次にも新たなる「最後」が待っている。無限に続いていくその様はまさに宇宙であり、読み方はウチュウであり、ローマ字表記するとU-CHUUである。

 

 

 

 

 

気付けば、自分は靴を脱いでいた。涙を流していた。終電を逃していた。夕飯を食っていないので腹が減っているはずだが、それすらもよく感知できていない。ひたすら頭がボーっとしている。頭が痛い。そしてついに、最後なき世界に、「真実の最後」が訪れた。

 

それは唐突に訪れた最後であり、自らの決意による最後ではなく、「体力の限界」による最後だった。もう帰ろう。

 

もう、かえるんだ。

 

 

 

 

 

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フラフラとゲーセンを出ると池袋の通りは深夜だと言うのに人で賑わっていて、世間が休日であることをこれでもかと知らしめてくる

 

ふと我にかえり、自分は何をしていたんだろうと思う。相当な時間と金を突っ込んだ

 

 

 

手元に残ったのは、残りの人生の如何なるシーンでも活躍の見込めない、50-60枚は優に超えているであろう謎の物体。 “ガオーレディスク”

  

 

そして、薄れ行く意識の中でもかすかに脳裏に残る、「明日こそは捕まえたい」という飽くなきホウオウへの “探究心” ただそれだけだった

 

 

 

 

 

 

 

... 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、あれから一週間以上がたち、部屋は、あの日の狂気が偶然ではなかったことを証明するかのように以前よりもその数を増した無数のガオーレディスクで溢れ返っている。今日は金曜日

 

 

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これから友人とお酒を飲んだ後、2次会には行かずにそそくさとゲーセンへ出向き一人でマーシャドーを捕まえに行く予定です。マーシャドーをご存知だろうか?

 

マーシャドーは “影” の中に潜み精神に干渉すると言われる、幻のポケモン。

  

 

詳細については不明なるも、何て言うか、まあとにかく凄いポケモンなのだ。昔で言うところの、ミュウツーみたいな感じだと思う。マーシャドーが欲しい。

 

 

 

それを捕まえてどうするのか、何の意味があるのか、何が楽しいのか、そんなことは知らない。今宵。俺はマーシャドーに用がある