もはや日記とかそういう次元ではない

そう、それは日記という既存の枠組みに一切捕われることのない、余りにも宇宙的でユニバースな、それでいてユニバーサルでユニセックスでリバーシブルな、日々の出来事を綴る、例のあれ。日記。

今宵、関東平野で最も「暇」な人間は、間違いなくワタクシ

ほぼ間違いないと思われる。暇さにおいて、関東平野で首位。華金だというのに、尋常ではなく暇

 

無論、この広い関東平野だ。「今夜予定がない人間」程度であれば、ごまんと存在することだろう。しかし予定がないというのは、この関東平野における “暇さ争い” において、スタートラインにたったことを意味するに過ぎない

 

 

関東平野における暇さ争いは、予定がないことを前提とし、次に「暇つぶし」の保有度合いによって雌雄を決することとなる。例え暇であっても、暇つぶしを保有してしまっている者は、真に「暇」とは言い切れない

 

 

ちなみに私が恒常的に保有している暇つぶしは、ポケモン、マジックザギャザリング、映画鑑賞、オナニー。

 

そして私はそのいずれにも、飽きてきている。ポケモンはウルトラサンムーンがサンムーンと余り変わらなかったことで飽きてきており、マジックザギャザリングは最新セットである基本セット2019のドラフトがやや単調で飽きてきており、そして映画は毎日のように観ているので映画を観るという行為自体に飽きてきている

 

 

ではオナニーが残っているではないか、と思われるが、オナニーはさすがに夜の予定として主軸に据える程の活動ではない。7-8時間ぶっ通しでオナニーするわけにはいかない。前立腺が滅びてしまう。

 

 

そういうワケで、手持ちの「暇つぶし」だけでは暇をつぶせない局面まで来ているのだ。予定がないのに、暇つぶしもない。

 

暇な時間から暇つぶしを取り除くとそこに待っているのは完全なる “虚無” だ。私は今から虚無を迎えようとしている。逆に、「虚無に忙しい」とまで言えるかもしれない。

そういう意味で、やはり関東平野において、頭一つ抜きん出た存在である可能性が高い

 

 

というか、この「関東平野において」という謎のくくりは何なのか。これこそが暇人の左証だろう。「関東平野において」などという枠組みは聞いたことがない。暇人だ。暇人の思考だ。暇な人間というのは、得てして平野単位で物事を考え始めるのだ

 

 

そもそも、平野という概念が日常会話にでてくること自体が不気味ではないだろうか。「まあ30歳くらいまでは関東平野に住みたいかな。でも子育ては足柄平野。老後は十勝平野かなあ..」などと語る人間がいたとしよう。すこぶる気味が悪い。

 

彼は、土地を「平野」という謎の区切りで捉えている。明らかにただ者ではない。だいたい、十勝平野なんていう単語、地理の問題の選択肢でしか見たことがないぞ。地理だ。地理の試験が、彼を蝕んでいる。

  

そういう人間は、次の瞬間には、「来週、リアス式海岸いかない?」と言い始めるのだ。そして、「関東ローム層でバーベーキューしようよ。」と言い始める

 

こちらが場所を提案すると、「いや〜でもあそこ扇状地だからな〜」と言って渋るだろう。暗闇で脅かすと「フォッッサマグナッッ!!!」と言って飛び跳ねる

 

 

地理用語だ。それこそが彼の人生なのだ。小学校の時に地理が得意なことで「地理が得意な自分」としてのアイデンティティを確立し、そして大人になってからも地理用語で他者をマウントをしないと自我が保てない

 

ああ恐ろしい。なんて恐ろしい男なんだ。怖過ぎる。迂闊に近寄れない。マジで怖い。どうしよう。どうすればいいんだ?というか、誰?

 

 いま私は、誰の話をしているんだい?そんな男はどこにもいない。どこにもいない「地理用語人間」に恐れをなしてどうする?

 

これでは、落ちて来るかもしれない隕石に怯えて家から出られなくなっているようなものだ。そういう人間が一番怖い。

 

 

というか、暇つぶしにブログを書き始めたものの、ぜんぜん時間が進まないぞ。

早く時間が流れて土曜日になって欲しいと切に願っているが、この時間の進まなさ。これはまるで、あれだ。バイトで皿洗いをしていた時のようだ

 

 

皿洗いの時間は苦痛で、とにかく流れが悪かった。「1時間は経っただろう」と思って時計を見ると、17分しか進んでいないのだ。

「時よ流れろ」と願うほどに、時は遅くなる。「時」が、私を試すかのように、敢えてゆっくりと流れている。そんな気がしてくる

 

 

これでもかという程に私が「時」を意識すると、「時」もこれでもかという程にその速度を落としてくる。

私は皿やスプーンを洗う活動を通じて、「時」と対峙する。しかし時を早めることはできない。意識するほど、それは遅くなるのだ。

 

 

私が一時間を意識すると、17分が流れる。私が17分を意識すると、3分が流れる。私が3分を意識すると、「時」は、40秒を私に差し出すのだ 

 

私が時間を強烈に意識したことで、時間は強烈に遅くなった。やがて私は、「1秒」ですら長い時間のように感じることが出来るようになっていく。「30秒は経った」と思って時計をみると、1秒しか経っていない。

 

3分は経ったかと思うが1秒しか経っていない。10分は経ったかと思うが1秒しか経っていない。やがて私は、1秒の中に、吸い込まれていく。1秒間を、無限に感じることが出来るようになった。その時、私は「一つ下の世界」へと落ちる

 

 

私は一つ下の世界から、元の世界を見つめることになる。もう元の世界には、戻れない。友人達が、街が、それら全てが、見慣れた何もかもが、止まっている。それは真っ暗な世界で、月のように空に輝いている。私は元の世界を、暗い世界から見上げている

 

 

私は暗い場所で、一人で泣いている。1秒から、出られなくなった。引き延ばされた1秒の中で、自分の意識が新たに存在してしまった。暗闇の中で、元の世界を見上げながら、私はずっと泣いている。すると遠くから、100歳近いであろうお爺さんが歩いてくる

 

 

彼は私に歩み寄ると告げた。「微分された世界へようこそ」

 

「この世界は、お前が元居た世界とは次元が一つ違う。ここは、tで微分された世界。わしらはこの世界を、時を祖末に扱った人間に対する天からの罰だと考えておる。」

 

 

どうすれば元の世界に戻れるのか。私は泣きながら尋ねた。オジいさんは言う。「理論

の上での話になるが、」

 

「お前がここに来る時にしたことと、逆のことをすれば良い。ワシらは、そう考えている。お前は元の世界で時を無駄にしようとした。早く時が流れれば良いと思ったんじゃ。それと逆のことしなさい。時が過ぎて欲しくないと思うほど素晴らしい時間を過ごしなさい。気付けば膨大な時間が経ってしまっているほど何かに没頭しなさい。未来永劫、暇だ、なんて言ってはいけない。この世界での一生を、一瞬だと思えるように過ごすんじゃ。」

 

 

私は泣きながら頷いた。私は微分された世界で、必至に生きた。泣きそうになりながらも必至に笑った。しかし時を祖末にする癖がついた者が、それを再び愛するのは難しい。

 

やがて私は、限界を迎えた。何かに打ち込むなんて無理だった。やがて微分された世界の中でもパソコンを立ち上げ、再びブログに「暇だ」と綴った。私の時間は再び引き延ばされていき、私はもう一つ下の世界に落ちた。あのお爺さんが、コンマ数秒前の自分であることに気付けぬまま

 

 

それから、いくつ自分は落ちたんだろう。どの世界でも何かに没頭することは出来ず、私は暇になり、ずるずると下の世界に落ちていった。空には、常に、一つ前の世界が浮かんでいた

 

どの世界にも、お爺さんは現れた。それぞれの世界にお爺さんがいた。私はやがて、彼の説明を聞かなくなった。「もう、良いです」と私は言った。私はいくつ落ちても、その世界で「暇」になった。私は落ち続けた

 

 

それは何個目の世界だったか。私は不思議な世界に落ちた。空には何も浮かんでいなかった。それは見えなくなったのか、完全になくなったのか。そこは完全なる黒の世界だった

 

私はついに自分が最深部まで落ちたことを知った。それも今ではどうでも良いことだった。そこは空も地面も、何もかもが黒かった。

 

私は本能的に、次に落ちれば自分という存在が消滅してしまうことを悟った。これ以上微分されると、世界は無に帰する

 

その世界には、誰もいなかった。私は寝転がっていた。お爺さんは来ない。最後の世界は、完全なる孤独の世界なのか

 

私は、最後の世界で、ついに「暇」になろうとしていた。暇だ。そう思えば自分自身が消滅することも分かっていたが、そうは言っても、やることがない

 

暇になったら死ぬ。そう思ったところで、暇は押し寄せてくるのだ。私は首を横に振り、押し寄せてくる暇を必至で振り払った。しかし、それも長くは続かない

  

私は時間が徐々に遅くなっていることを感じていた。気付けば私の目には涙が溜まっていた。怖かったのか。悔しかったのか。黒い世界で私は泣いていた。もう終わりだ。最後に..

 

「最後に、巨乳の美女とセックスがしたい..」

 

 

私はそう言うと、大粒の涙をこぼした。耳元で「こんにちは」と声が聞こえた。私はその声を聞いてギクリとした。目を開けると巨乳の美女が全裸で佇んでいた。女性の裸を見たのは何年ぶりか

 

 

私は驚いたが、次の瞬間には勃起していた。こんな絶望的な状況でも、前立腺は滅びてはいなかった。私は号泣しながら、いそいそとセックスを開始した。ありがとう..!!神様ありがとう...!!うおおお!!!!最高!!最高だ!!巨乳は最高だ!!!!!

  

次の瞬間、ズゴンという音と共に、私の世界が大きく揺れた!!!!私は巨乳の美女と共に、一つ前の世界にいた!!次元が...上がっている!?!?私はそんなことを無視して無我夢中でセックスをし続けた!!するとズゴンズゴンと音をたてながら、世界が次々とジャンプしていく!!次元が.... 次元が上がって行くうう!!!間違いない!!!腰を突く度に、次元が上がっていくううううう!!!!!!!!

 

 

私は立ちバックをしながら、落ちてきた世界を猛スピードで戻って行く!!!ピストンと次元が、連動している!!積分!!!これは、、、、積分SEX!!!私な泣きながら腰を振り続けた!!次元は上がり続け、私はついに最初に落ちた世界へと戻って来た!!目の前には、最初に出会ったお爺さんがいる!!!私は彼に「ハロー」と良いながら腰を引き、「グッバイ」と言いながら腰を突き出す!!!お爺さんはニコりと笑った!!!!私はミサイルのように天に昇って行く!!天に輝く、元の世界へ!!!あの世界へ戻っていく!!!立ちバックをしながら!!!!!

 

 

皿を.. 洗っている!!!!私は気付けば皿を洗っていた!!戻った!!戻ったのだ!!!!ハハハ!!!ウアハッハハハッは〜!

 

「やっぱり巨乳は最高だああああ!!!」

 

私は洗剤にまみれた拳を天に突き上げて、叫んだ!!私のソールスクリームが居酒屋の雑踏を切り裂いた!!!お客さんが白い目で私を見ている!マスターが私を睨んでいる!!生きている!!!生きているぞ!!!

  

私は夢中で服を脱ぎ捨て、全裸で街へ飛び出した!!!!街中が大騒ぎになり、警察官が追いかけてくる!!!私は走った!!!どこまでも走った!! 空には、月が浮かんでいる!!!ーーー