カフェで時々軽いミーティングをする後輩の足が、めちゃくちゃ臭い
普通に向かいあって座ってると、モワンと匂ってくる。理科の実験室でしか嗅いだことのないような激臭を、信じ難いレベルで拡散させてくる。
彼のことは“インフルエンサー”と呼んでいいと思う
最初は気を遣って我慢していたが、さすがにそのおぞましい臭いに堪え兼ねて、先週「足が臭いんだけど」と指摘した
すると後輩は落ち着き払った表情で「ああ、これ、足が臭いんじゃなくてサンダルが臭いんですよね。」と回答し、何食わぬ顔で仕事の話を続けた
俺はそれを聞いて、「あ、そっか。足じゃなくてサンダルが臭いのか。」と一瞬納得した
しかし、数秒後に気付いた。足じゃなくてサンダルだから、何なの? その回答では、根本的な問題は何一つ解決してない。くせぇよ
くせぇんだよ
足だかサンダルだか知らねえけど、とにかく、そいつが、くせぇんだ。
「ああ足じゃなくてサンダルなのか、じゃあオッケー。」とはならないだろ
俺は別に臭いの発生源を特定したくて臭いを指摘したわけじゃない
サンダルを含めたキミの下半身の末端部分が未曾有の悪臭を拡散させている事実に言及し、可及的速やかな対応を求めているんだ
というか、もう、「足」だろ
そのサンダルはもう、広義の「お前の足」でいいだろ
お前にとっては厳密に言えば足とサンダルは違うかもしれないけど、お前以外の被害者達にとってその両者はただの一つのヤバい物体だよ
例えこれがサンダルの臭いだとしても、キミはそれを足の臭いとして扱い、当該する臭い及びそれが引き起こすあらゆる損害に関して一切の責任を引き受ける義務があるだろ
いや、じゃあ100歩譲って、仮に「サンダルが臭かっただけ」だとしよう。
だとしても、サンダルを臭くさせたの、キミの足だよね?
サンダルって、自発的に臭くならないよね?
だから、やっぱ「足」だわ。臭いの。
足の臭いを積み重ねることで、それがサンダルの臭いとして具象化してるんだよ
臭いの発生源は短期的に見てサンダルだとしても、長期的に見ると足だわ。
だから本質的な話をすると、やっぱり「足がくせぇ」で合ってるわ。
っていうか、「足が臭い」と言って困ってる人に対して、「サンダルが臭いだけです」っていう回答で問題解決をはかろうとするスタンス、おかしくない?
キミは、あれかな?じゃあ仮にキミが走っていて、俺にぶつかってしまったとしよう
その際に、キミが握りしめていた鉛筆みたいな物体が、俺の腹に偶然ブッ刺さってしまったとする。俺の腹から血がドボドボと垂れているとする
その時に俺が「鉛筆がブッ刺さって痛え!」と言ったら、「いやこれ鉛筆じゃなくてボールペンです!」って回答してくるの?
いてぇんだよ
まずはシンプルに、謝れ
それが鉛筆なのかボールペンなのかは、知らねぇよ
刺さってるものさえ分かればオッケー♡ なんて奴どこにもいねえだろ
いてぇんだ
謝ってから、あくまで補足の情報として、「ちなみに、刺さったのはボールペンです」と言え
「何かが刺さっててクソ痛い」ということが、一番大切な事実なんだよ
「刺さった物は一体何なのか」を本件におけるメインのテーマにするな
っていうか、これ、何の話だよ
サンダルですっていう回答が気に入らないのは分かったけど、それに対してグダグダ長ったらしく文章書き過ぎじゃない?
なんとなく「サンダルが臭いだけです」って回答しただけで、いきなり「短期的に見てサンダルだとしても、長期的に見ると足だ」とかいうよくわからない指摘をしてくる先輩いたら、キモ過ぎるだろ
サンダルと足に、短気も長期もないわ
しまいには、「じゃあキミが握りしめていた鉛筆みたいな物体が、俺の腹に偶然ブッ刺さってしまったとしよう」とかいう、謎の例え話
一体、何が始まったんだよ
いらなくね?鉛筆の例え。キモいわ
キモい。俺が。
そして、臭い。あいつが。