もはや日記とかそういう次元ではない

そう、それは日記という既存の枠組みに一切捕われることのない、余りにも宇宙的でユニバースな、それでいてユニバーサルでユニセックスでリバーシブルな、日々の出来事を綴る、例のあれ。日記。

ハンターハンターの最新刊を読むことは、出来ない

 

f:id:manato-kumagai:20170628205510j:plain

 

ハンターハンターという書物が日本の数ある著作の中でも一際輝く余りにも崇高な作品であり、それが他に類を見ない程に恐ろしく含蓄の詰まった奇跡のマスターピースであることに関しては、もはや議論の余地がない。

 

人間の生き方や万物の捉え方に関して、これ程までに多くのことを伝えてくれる聖書は、およそ他に見当たらない。もう何度読み返したことか分からないが、台詞は殆ど丸暗記してしまった。完全にメモリの無駄使いだ。

 

最初の頃は厨二病を極めたキルアとヒソカが個人的なお気に入りのキャラクターだったが、2周3周と読み直すうちに圧倒的にメルエムが好きになり、長らくメルエム時代が続いた後ゲンスルーがお気に入りになってからレオリオになり、その後イルミになってから、ミミズやノヴやバショウに注目する時代を経て、近年、とうとう、まわりにまわってゴンに辿り着いた。

 

ハンターで好きなキャラは何ですかと聞かれた時に「ゴン」と答えるのは、好きなアーティストは何ですかと聞かれて「スマップです」と答えるのに似た何とも言えない恥ずかしさがあるが、もはや70周近く回ってゲシュタルト崩壊を起こした自分にとってみればその質問に対して知った顔をしながら「スクワラ」と答えるやつの方が、むしろ恥ずかしい。もう、ゴンで良いのだ。

 

ハンターハンターをジャンプでなく単行本で読んでいる自分にとって、自らの人生に潜む最大のリスクとは友を失うことでも金を失うことでも信頼を失うことでもなく、「ジャンプで読んでいる勢との何気ない会話からハンターのネタバレをうっかり耳にしてしまうこと」である。

 

会話の中で、ヒソカ.. という単語が聞こえようものなら耳を塞いで突如ウヴォオオオ〜と大声を出し、会話そのものを粉砕するため己のあらゆる生命エネルギーを投下してそのままゥウヴォッヴォヴォヴォヴォヴォオウヴぉ〜サン、聞コエマスカああああアアア!?!?と叫び倒すようにしている。無慈悲の咆哮である。

 

殆ど自分はハンターハンターを読む為、その為だけに生きているのであり、仕事や恋愛といったその他諸々の活動は、「ハンターハンターの新刊が出るまでの暇つぶし」という立て付けなのだ。

 

 

さて、ハンターハンターの持つ魅力はと言えば、 “回収されないこともある伏線” や “雑に死ぬゴトー” に加え、やはり “連載の不定期さ” が挙げられると思う。この、いつ始まるか分からないし、いつ終わるか分からない感じが、とんでもなくゾクゾクする。

 

20巻も後半の頃から、「もう、次の1巻がハンターのラストかもしれない」と思うようになった私は、最新刊が出る度にその「1巻」を心の底から大切にし、大いに味わい尽くすように心掛けている。そして、そのために、発売しても直ぐには最新刊を読まないようになった。

 

発売された最新刊を骨の髄から味わい尽くすために、直前のストーリーや興奮をMAXに背負って最新刊へ突入すべく、最新刊の数巻くらい前から読み直す。ちゃんと助走を付けて、勢いをつけて、興奮した状態で、最新刊へっtっt!!!!!!

 

この、少し前の巻から読み直すという「助走」を取り入れることで、最新刊を最高のコンディションで読むことが出来るようになった。そしてこの助走は、近年、年を経る毎に激しくなっている。

 

「30巻」が発売された頃には、2~3巻だけ前に戻る程度だったはずの助走は、巻を追う毎に “5巻戻り”、 “10巻戻り” と長くなっていき、去年「33巻」が発売された時、自分は「助走」とかこつけて、なんと “ハンター試験” の下りから読み直し始めた。戻り過ぎだ。

 

いくら暗黒大陸の話をハイテンションで読みたいからと言って、サトツさんが階段をスタスタと登っていく下りから読み直す必要はないだろう。ハンター試験の受験生がヌメーレ湿原へ突入してく話はもう、ビヨンド=ネテロと何一つ関係ないではないか。完全な、助走インフレである。

 

しかし、彼は最新刊を楽しみたい一心で必死に助走をつけているのだ。彼を責めることは出来ない。彼も、ハンターハンターとの時間を有意義なものにするために、彼なりに必死なのだ。

 

そして34巻が出た今回、助走の怪物と化した自分という鬼はとうとう、最新刊を最高のコンディションで読むために伝説の書物を手に取った。そう。「幽遊白書」である。

 

ハンターハンターという物語の前身となる幽遊白書を読む事で、ハンターハンターという物語自体を最高のコンディションで受け入れる内面的な素地を醸成し、そしてその圧倒的に優れたメンタリティを以てハンターハンターを一気に1巻から33巻まで読み進めることにより比類無きエクスタシーを持って満を持して34巻を読むことが出来る。

 

34巻にたどり着くその頃には極度の興奮で鼻血を垂らしながら白目を引ん剝いてピクピクと痙攣しているだろう。もう “漫画を読む人間” の姿からは、かけ離れている筈だ

 

 

ハンターハンターの最新刊よ、待っていて欲しい。今はまだ、戸愚呂というボディビルダー風の男性が、フルパワ〜♪ 100%中の100%ォォおおおおお〜♪ と言いながら斜めに傾いているところだが、心配しなくてもこの戦いは浦飯幽助が、勝つ。

 

そしてその後、仙水忍という偉大過ぎるイケメンがイージーな二元論に疑問を投げかけ圧倒的な存在感を残したかと思えば、雷禅や黄泉や躯といった強キャラに混じって “魔界整体師時雨” という医者が、オペ代に人生の一部を要求するというとんでもないビジネスモデルを引っさげて登場する。そしてそいつは切られて負ける。

 

その後、浦飯幽助はゴンという短髪の少年に生まれ変わるが、彼はやがて怒りに身を任せて “ゴンさん” と呼ばれるロン毛の化け物に進化し、レイプ魔の如き目付きのレイプ魔に変わるだろう。

 

ゴンさん以外にも、疑わしは爆せよおおお〜♪と言う奴や、わざと垂らしてそして拭くうう〜♪と言う奴や、そりゃああ悪手だろアリンコおおお〜♪と言う奴など、個性豊かな、色々なレイプ魔が現れる。そして暗黒大陸へ。

 

そう、その時まで、どうかその時まで待っていてくれ。長らく待たせてしまうかもしれない。相当な時間がかかってしまうかもしれない。それがいつになるか分からない。しかし、断言しよう

 

戸愚呂から仙水、雷禅からハンター試験、グリードアイランドからメルエム…その全ての流れを背負い、時代にいつの日か、その数百年分の “歴史” を全て背負って…この世界に戦いを挑む者が現れる...

 

センゴク… お前達世界政府はいつか来るその世界を巻き込むほどの巨大な戦いを恐れている… いつの日か… 最新刊にたどり着く… その日は必ず来る… ワンピースは、実在するゥぅウうううううううう!!!!ぴぐぉあk」@wじょwじゃ:ぺおかぽ!vなうぇn!!

 

 

 

  

 

という事情で当分ハンターハンターの最新刊を読むことは出来ないんですが、同じ状況の人って、いるんですかね?

 

 

 

追伸 06.29 11:43

レベルEを忘れているんじゃないかとご指摘の方々。礼を言う。お主のお陰で大切なモノを想い出せた。先ほど幽遊白書を投げ捨ててレベルEを読み始め、ようやく気付いた。そうか... 余はこの瞬間のために生まれてきたのだ…!! と。

 

魔界整体師時雨は相打ちだろうとご指摘の方。御見事。