もはや日記とかそういう次元ではない

そう、それは日記という既存の枠組みに一切捕われることのない、余りにも宇宙的でユニバースな、それでいてユニバーサルでユニセックスでリバーシブルな、日々の出来事を綴る、例のあれ。日記。

印刷のラクスルに文句を言ったら、カスタマーサポートの対応が紳士的過ぎて返り討ちにあった。「サービス」の真髄が分かった

 

ことの発端

本業ではないんですが、オンライン英会話サービスを展開する “株式会社レアジョブ”  に外部顧問として入らせて貰っていて、週に 1日程度レアジョブのオフィスにて仕事をしています

 

 

偉そうにドヤ顔で「顧問」と自分を呼んでふんぞり返ってみましたが、よくよく考えると私には際立った専門性が無く、「これこれこういう風にレアジョブさんの企業価値向上に貢献しますムフフ♡」などとは、口が裂けても言えない。わたくしは一体、レアジョブで何をするのか、はたまた、何もしないのか?

 

 

深い思考の末、「何もしない」のはさすがに幾らなんでもアレかな、という偉大なる結論に到達し、最近、レアジョブの社内報を書くという試みを始めました

 

 

 

この社内報のコンセプトは、

 

・外部の人間である熊谷が、レアジョブ社内の人をインタビューする

・外部の人間であるという特権を乱用し、エグイところまで聞きだす

・エグイとこまで聞いて、チョケた感じで書く

・時代に逆行して、webではなく、紙で作成して配る

・それを皆で楽しむ。レアジョブに来てくれた人に、気まぐれに配ったりする

 

 

というもの。いったいこの社内報に何の意味があるのかは甚だ怪しいですが、そんな「意味」だとか何だとかつまらないことはとりあえず無視 ということで、いきなりスタート

 

 

 

記念すべき社内報の一発目は、社長の中村岳さんへのインタビューということで決定しました。開成高校から東京大学へ進学し、新卒でドコモに入りその後起業という経歴を持つ真面目の権化である中村社長

 

社内ではその圧倒的な論理性から「歩く因数分解」として恐れられており、どの側面を切り取ってみてもスキの無い完全無欠の品行方正マンである社長から、どうにか軟派な一面を引き出すという、一発目から中々にチャレンジングな企画となりました

 

 

  

 

中村社長を密室へと連れ出すことに成功し、開口一番「面白いことを言うのが苦手」と語る社長を前にして、

 

「いいえ、そんな事はありません。さあ、何か面白いことを言って下さい? さあ、なんかあるでしょう??性癖は?正直嫌いな人は?嫌いな会社は? この地球上にコンプライアンスという概念が無かったとして街中で叫びたい “単語” は? さあ、さあ、さあさあさあさあさあさあ」と執拗に迫り続けた結果、

 

 

 

 

 

「拷問のようなインタビューでした」と、後に彼は語ったそうです

 

 

 

 

 

このような経緯を経て、社内報の第一号が完成。印刷会社ラクスルに冊子制作を発注し、10ページにも及ぶ大作が、200部、会社に届きました

 

 

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この社内報、何かがオカシイぞ...?

 

印刷会社ラクスルから社内報の冊子が届き、意気揚々とこれをレアジョブの社員全員に配布。

100人以上も人がいるので、配るだけでも一苦労です。「号外でええええ〜す」と声を張り上げながら、せっせとバラまく熊谷

 

 

 

結論を言うと、ラクスル側の印刷ミスで、届いた製品は中身がめちゃくちゃになっていました。表紙しか見ないで配った私は、それに全く気がつかなかった

 

どうメチャクチャかと言うと、ページの順序がグチャグチャになっていて、最終ページ(=10ページ目)に来るはずの社長の感動的なコメントが2ページ目に来たり、社長をイジり倒す “導入的な” 部分が最終ページに来たりといった塩梅で、もうその文章の構成たるやカオスの極み

 

その文章はまさに、現国の「パラグラフ並び替え問題」の、正しく配列する前のそれです

 

 

 

配ってから2時間ほどの間、社内報を目の前で読んでいる人達から何一つとして指摘を受けなかったのは、恐らく私があまりにも “ドヤ顔” でそれを配っていたからであろうと推測しています

 

 

「く、熊谷さんってのは、なんて奇抜な気持ち悪い文章を書く人なんだ……。 もはや、全く理解が出来ないが、これって、イジっても良いのか...?

い、いや、しかしアレだけのドヤ顔、彼はきっと文章に異常なほどの拘りがあるんだろう……。 い、イジらんとこ...。」

 

 

 

少し時間がたってからようやく指摘をもらい、社内報の中身を見て赤っ恥をかいたことに憤慨した熊谷は、鬼の形相で印刷のラクスル問い合わせ窓口に電話をした

 

 

 

 

ラクスルのクレーム対応1

 

「ただいま、回線が大変混み合っており…」

 

 

ブッ殺してやると意気込んで電話をかけた矢先これだ。問い合わせ窓口に電話をするとありがちな、あの「ただいま、回線が大変混み合っております。そのままお待ち頂くか、少し時間を置いてからおかけ直し下さい」地獄。トゥーントゥルルルル〜んみたいなBGMがウゼェ。馬鹿にしてるのか? 

 

 

しかし、ラクスルの自動音声は、通常のそれとは少し違っていた

  

 

 

「お待たせして申し訳ありません。お客さまは、3番目のご案内になります。」

 

 

ほぅ…?

 

 

不思議なことに、“いつまで待たされるのか” さえ分かると、待たされること自体は大した不快ではなくなる。 「あ、3番目なんだ。待とう。」

 

 

その後も、「お客さまは2番目のご案内になります」「次がお客様となります」とリアルタイムに状況が伝わってくる

 

 

 

やがて自分の番になり、ついにカスタマーサポートの担当者が現れた。「大変お待たせ致しました… 印刷のラクスルです。」 

正直、待たされたという不快感は、あまり無い

 

 

 

ラクスルのクレーム対応2

 

私は、手短に状況を説明。ラクスル側に送ったデータは間違っていなかったので、ラクスルの印刷工程でのミスです、と伝えた。その時点で既に夕方になっており、ラクスルの印刷工場は閉まっていて、その日のうちに工場側の状況を確認することが出来ない、とのこと

 

 

「今日確認がとれないいいいぃぃいいぃ?? んんんんn〜? そいつはぁあああ、困りますねェえええ??」

 

 

陰湿なクレーマーと化し、電話越しにも分かる程に眉間にシワを寄せた私に対して、ラクスル担当者は少し考えてから、「もしかするとまだ工場に人間が残っているかもしれないので、とにかく至急確認してみる」 と言って電話を切る

 

 

5分ほど経ってから担当者から折り返しの連絡があり、「やはり工場側に確認出来る人がいないので明日確認して、連絡をさせて下さい...」とのこと

 

 

しかし、ダメ元でも一度工場側に確認をとってくれたことに加え、工場の印刷工程に関する解説や今後の進め方についての説明が、いちいちクソ分かりやすくて、それが素晴らしい。

 

 

 

ラクスルのクレーム対応3

 

次の日、休日のラクスルのカスタマーサポート業務時間が13:00-18:00であることを調べた私は、昼過ぎくらいになるであろうラクスルからの電話をまっていた

 

 

すると、ラクスルの業務時間前であるはずの10:00頃にはラクスルから電話があり、工場側に保存してあるサンプルを朝一で確認したところ、送付されたデータ通りで間違いが見当たらなかった、との報告。

工場のサンプルにはミスが無いのに、発送した商品にミスがあるという、非常にイレギュラーなケースとのこと。引き続き説明が明確で、分かりやすい。

 

 

加えて私が驚いたのは、これらの説明をした担当者が、前日に電話で話した担当者と違う担当者だったということ

 

昨日の会話の続きかのように、何の違和感もなく話が通じる。素晴らしくスピーディな対応に加えて、あまりにも完璧な引き継ぎ。 え?ラクスルってどういうオペレーションになってるんですか? 

 

こんな対応を、全ての客に対して徹底しているのかと思うと、もはや恐ろしい

 

 

 

ラクスルのクレーム対応4

 

誠に申し訳ありませんでした。という謝罪と共に、正しく製本された社内報は、直ぐに再送された。結局、間違いを発見してから数日内に正しい製品が届いた。これなら何の問題もないし、何の不快感も無い。なんだこれは

 

「今後、二度とないよう、気をつけて参ります。誠に申し訳ありませんでした。」

 

 

その言葉は、マニュアル的にというよりは、自然に発せられているようだった。本来、印刷工程に気をつけるのはカスタマーサポートの仕事ではなく、工場の仕事。なんという当事者意識なんだ。カスタマーサポートが紳士的すぎやしないか

 

ラクスルからの執拗な謝罪に対して、こちらから、一言だけ言わせて頂きたい。ええ、はっきり言いましょう、

 

 

 

 

 

NO PROBLEM!!!!! 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

いや、もうむしろ、印刷ミスをして頂きまして、

 

 

 

 

 

Thank you very much!!!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

サービスとは

 

気付けばラクスルのPR記事かのようになっているこの記事は、別にラクスルのPR記事でもなんでも無いんですが、まあ、実際にこんなことがありました。

  

不良品が送られてきたわけで、しかし、それでもラクスルを使って良かったと思っています

 

 

 

このストーリーが示唆しているのは、結局、ラクスルという会社が客に提供しているサービスの本質が、「印刷物」ではないということ。そう、それは客に対する配慮やおもてなしを含めた、印刷物を通じて客の感じる、 “満足”

 

そうこれがラクスルの商品であり、 

 

それこそが本質…

 

 

 

 

 

 

 

... 

 

そんなことを考えていて、ふと、近所のラーメン屋を思い出す。 味はイマイチだが、爽やかな笑顔で客を出迎え満面の笑みでイマイチなラーメンを提供してくれる、隠れた迷店

 

 

イマイチな味を、圧倒的なホスピタリティと弾けんばかりの笑顔でリカバーする、味のイマイチな素敵なラーメン屋

 

 

 

 

初めて訪れ、その店長のホスピタリティに感動した私は、やはりその店に何度も通うようになってしまったでしょうか? いいえ、なりません。なぜならば、味がイマイチだからです。あれ以来、一度も行ってません

 

 

 

 

ラーメン屋が客に提供するサービスの本質を、ご存知ですか? それは、「ラーメン」です。汁と麺。それ以上でも、以下でもありません。

 

そう、それこそが本質...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

以上、ラクスルとラーメンの事例から導かれる結論はですね、え〜っと、結論は

 

 

 

 

 

 

 

なんですか?