徳永英明については、バラードおじさん?みたいな印象がある程度
壊れかけのレディオは好きだが、曲はそれしか知らない。年齢だけ調べた。63歳。父より歳上
知らんおじさんの怒涛のバラード。無論、十中八九ラブソングだろう。正直、最後まで聞いていられるか心配だ。寝てしまうかもしれない。二日酔いだし
そうした不安が杞憂となるまでに有した時間は約6秒だった。一発目の、歌い
還暦を超えないと発することのできない、恐ろしく深みのある高音。それと完全な調和をなす、計算され尽
この人... まさか、歌に自信ニキ...?
知れず「うわ、エッっぐ...」ともらしていた。岩場でゲジゲジを見た時と同じリアクションだ。しかし、”鳥肌がたつ”、”ゾクゾクする”、”動く”といった点においては概ねゲジゲジと同じだから決して間違ってはいない
何かよく分からないが、もっと「声」が聞きたい。もっと耳の中に入り込んできて欲しい。そう思う。稀有な経験だ。もうこの声があるなら、この人は、歌を歌う必要すらないだろう
路上で「んああああああ、あんんんああんぁぁー♪」とか適当に全裸で発
知らんバラードに次ぐ知らんバラード。怒涛。しかし気付いたらコンサートホールの椅子から身を乗り出し、半目で横揺れしている。このまま続けられると耳でイキかねな
そして特筆すべきはこの驚異的な歌唱力を支える、洗練されたMCである。洗練され、洗練され過ぎた無駄のないMC。無駄という無駄を削ぎ落とし、
というか
気持ちよさそうに歌って気持ちよくさせたら、次の曲が流れて、気
知らないオジさんに「何でも
いくらなんでも老練が過ぎる。このレベルのレジェンドになると、MCはこの次元までいくのか。多くを説明し過ぎずに余白で語る浮世絵の世界。歌を聞
次の瞬間だった。知らんラブソングで十分に喰らわせたと思いきや、突然のサプ
なんと、あの「カラオケで誰かが歌っているのをよく聞く」でお馴染みのレイニーブルーも、徳永英明の曲だったのだ。これには会場の皆さまもさぞ驚いていたに違いない。
しかも、レイニーブルーが、やたら上手い。いや上手いなんてもんじゃない。さすがに心配になる
英明君。気をつけた方がいい。カラオケで突如この感じでレイニーブルーを歌ったら、盛り上がるどころかどえらい変な空気になります。「上手〜い♡」とかじゃない。「ど、どうした?」ってなる。ビックエコーも出禁になる。マシン側がもたない
恍惚の表情でアヘアヘしていると前半パートが終わり、後半に
ギア2ndに変わったドラムに合わせ、UFCストライカーなみの
この二面性を前に、数々のAVで慣らしてきたはずの私の経験値は
自分の耳は一体どうなってしまったんだ?少なくとも鼓膜はビショビショ。三半規管からは信じられない量の耳汁が出ている気がする。こんなに耳潮吹いたの初めて。正気を保っていられない
ゼッッッロになるーことをををー!!!!恐れぇないでえええー
おじさんが叫ぶ。ソウルスクリーム。会場は呼応する
正直、歌詞自体はどういう意味なのかサッパリ分からないが、その凄まじい気迫に押され妙に納得
洗濯機を回すことで洗濯物がゼロになることをどこかで恐れていたんだ。回すよ... 洗濯機回す。ありえないほどブン回しまくる。何もかもブチ込んで、全て回しまくって、家をスケルトンにする。もう恐れない
ウぇェンズデーーーーーィ!!!♪!!
ムーーーーーん!!!♪!!♪
おじさんのシャウトは止まらない。いよいよ取り返しのつかない、ワケの分からないことを叫びだしている。上45°くらいの方角を指差して。ウェンズデームーン。水曜日の月?
しかし熱狂というのは恐ろしい。錯乱し、忘我の中で
あっぱれである。これぞディベ
ちなみに月の存在を主張していた彼が、本当に「ウェンズデームーン」と言っていたのか、実のところ定かではない。「ウエンツ瑛二ブーム」って言ってたのかも。これから訪れる
次々と意味不明な曲に合わせ、意味不明な言霊をバラまく徳永英明
会場のボルテージは最高潮に達する。酒池肉林。しかし、獰猛な耳マンの終わりは突然だった。それまでと明らかに違う、穏やかな表情にスッと変わる、徳永英明
「..の時の情景を... ...にしたんです.... んなで... ってください.. ...かけの...ディオ...」
コンサートの終わりを告げるささやかなMCが終わると、聞き慣れたイントロが流れる。ティン トゥトゥトゥトゥトン トゥトゥトゥトゥトン...
きた...
きてしまった..
パニックの連続で忘れていた... 唯一知っている曲があること
悲しかった。せっかく知っている歌なのに。数多の絶頂を経験し痙
頬を伝うものが涙だと気付いたころには思春期から大人に変わって
正直、このあたりからはもう正確な記憶はない。歌声はプラズマと
すごいよ。徳永英明... 一体どこが壊れかけなんだ。謙遜がすぎる
崩壊しているのは涙腺だけではない。目も。耳も。手も。もうどの部位も。自分の意思でうまくコントロールすることはできない。ここは一体誰で、自分は一体どこなのか
前方のオバさんがJK並のテンションで黄色いレディオを発していてそ
気付けば立ち上がり、フ
きっと自分は、笑っていたと思う。目からも耳からも、穴という穴から、謎の汁を流しながら。その辺のアンデットもびっくりの佇まいで。道端なら罪状なしで逮捕されていただろう。でも皆優しかった。それで良いんだと。これが徳永英明なんだよ、と
まだ妹が小さかった頃。父親と母親と自分と、4人で乗っていたアメ車を思い出していた。ありきたりな家族の.. あの何でもない 車内で.. 一度たりとも流れていなかった、壊れかけのレディオ
懐かしいな... この曲が... 一回も流れてなかったな... そうだ。いつも、謎のレゲエが流れてたんだ。親父が、TOEIC 195点のくせに... 変に海外かぶれだから... ...れかけの... レディオ...
やがて、はなやいだ祭りのあとにアンコールでカジ
終わってからの数時間は魂の抜き取られた、元人間。ハイボールの味
そうか。レディオとはlady男。男もみんなlad
そんなこんなであの日依頼、徳永英明のとりこ。今さらじゃない